YOLOの理解: 仕組みとサンプルコード
YOLOの概要
YOLO (You Only Look Once) は、速度と精度のバランスに優れた最先端の物体検出アルゴリズムです。Faster R-CNNのような従来の手法とは異なり、YOLOは物体検出を単一の回帰問題として処理し、一度の前方伝播でバウンディングボックスとクラス確率を予測します。
このブログでは、YOLOの仕組みを解説し、YOLOv8を使ったサンプルコードを紹介します。
YOLOの仕組み
1. グリッドベースの予測
YOLOは画像をS x Sのグリッドに分割し、それぞれのグリッドセルが以下を予測します:
- バウンディングボックス (x, y, 幅, 高さ)
- 信頼度スコア
- クラス確率
各セルは、中心がそのセル内にある物体の検出を担当します。
2. 単一のニューラルネットワークによる処理
- YOLOはR-CNNのような領域提案ネットワークとは異なり、一度の処理で画像全体を解析します。
- これにより、高速な処理を実現しつつ、十分な精度を維持します。
3. バウンディングボックスのフィルタリング
YOLOはNon-Maximum Suppression (NMS) を適用し、重複するバウンディングボックスを削除し、最も信頼度の高い予測結果のみを保持します。
YOLOv8のインストール
YOLOを使用するには、Ultralytics YOLOライブラリをインストールします:
pip install ultralytics
サンプルコード: 画像でYOLOを実行する
1. ライブラリのインポート
from ultralytics import YOLO
import cv2
import matplotlib.pyplot as plt
2. YOLOモデルの読み込み
# 事前学習済みのYOLOv8モデルをロード
model = YOLO("yolov8n.pt") # 'n' (nano) は最小モデル; 他に's', 'm', 'l', 'x'が利用可能
3. 画像でYOLOを実行
# 画像を用いたYOLOの実行
image_path = "test.jpg" # 画像パスを指定
results = model(image_path)
# 検出結果の表示
results.show()
4. Matplotlibを使った結果の表示
# OpenCV形式に変換して表示
for result in results:
img = result.plot() # バウンディングボックスの描画
plt.imshow(cv2.cvtColor(img, cv2.COLOR_BGR2RGB))
plt.axis("off")
plt.show()
5. 検出オブジェクトの情報取得
# 検出されたオブジェクトの情報を取得
for result in results:
for box in result.boxes:
print(f"クラス: {model.names[int(box.cls)]}, 信頼度: {box.conf.item()}, バウンディングボックス: {box.xyxy.tolist()}")
動画でYOLOを実行 (Webカメラまたは動画ファイル)
# 動画を開く (0はWebカメラ、または動画ファイルパスを指定)
cap = cv2.VideoCapture(0)
while cap.isOpened():
ret, frame = cap.read()
if not ret:
break
# YOLOの適用
results = model(frame)
# フレームに結果を描画
frame = results[0].plot()
# フレームを表示
cv2.imshow("YOLOv8 Detection", frame)
if cv2.waitKey(1) & 0xFF == ord("q"):
break
cap.release()
cv2.destroyAllWindows()
YOLOの応用例
- 監視・セキュリティ (武器検出、顔認識)
- 自動運転 (リアルタイム物体検出)
- 小売・倉庫管理 (自動チェックアウト、在庫監視)
- 医療分野 (がん検出、診断支援)
- ドローン・ロボティクス (物体追跡、監視)
- 野生動物保護 (絶滅危惧種の監視、密猟防止)
- 農業 (作物の病気検出、家畜のカウント、植物の健康管理)
- 製造業・品質管理 (生産ラインの欠陥検出)
- スポーツ分析 (プレイヤーの動きやボールの軌道追跡)
まとめ
YOLOは、高速かつ高精度なリアルタイム物体検出モデルであり、様々な分野で活用されています。物体を一度の処理で検出できるため、セキュリティ、自動運転、医療、産業、農業など、幅広い分野での利用が可能です。
カスタムデータセットでYOLOをトレーニングしたいですか?次回のガイドをお楽しみに! 🚀
Get in Touch with us
Related Posts
- 連続素材欠陥検出用スマートビジョンシステム
- ラインスキャン + AI で作るリアルタイム欠陥検出システム(汎用設計ガイド)
- ソースコードを読む方法:Frappe Framework を例に
- Interface-Oriented Design:クリーンアーキテクチャの基礎
- アンチドローンシステムのすべて ─ アーキテクチャ・ハードウェア・ソフトウェア徹底解説
- ドローンにおけるRTOS vs Linux:最新設計・セキュリティ・Rust活用法
- なぜSpringはアノテーションだらけ? JavaとPython Web開発の本質的な違い
- DjangoからSpring Bootへ:Web開発者のための実践ガイド
- クリーンアーキテクチャで大規模なPythonシステムを構築する(実践サンプル・図解付き)
- なぜTest-Driven Development(TDD)はビジネスに有利なのか
- Django × DigitalOcean × GitHub Actions × Docker で構築する継続的デリバリー(CD)環境
- LangChainとOllama、オープンソース埋め込みで作るローカル商品レコメンドシステム
- 2025年版:主要モバイルアプリフレームワーク徹底比較(Flutter、React Native、Expo、Ionic ほか)
- NumPy の `np.meshgrid()` を徹底解説:なぜ必要なのか?順序を入れ替えるとどうなるのか?
- PyMeasure を使って実験装置を自動制御する方法
- チャットボットを強化しよう:業務システムと連携するAPI開発サービス
- 今注目の「日本語対応Rasaチャットボットガイド」が話題の理由と、その活用方法
- 数学なしで「方程式」を推測する方法:猫と鳥の個体数の関係を探る
- AIに負けないプロジェクトの作り方:人とのつながりで価値を生むアイデア
- GNS3 + Wazuh + Dockerでサイバーセキュリティ演習ラボを構築しよう