🧠 レガシーコードに安全に新機能を追加する方法

「レガシーコード」…
それは開発者の頭を悩ませる存在。

しかし、私たち Simplico Co., Ltd. では、レガシーシステムに対して安全かつ確実に機能を追加し、将来的な改善がしやすいコードへと変えていく手法を提供しています。

本記事では、レガシーコードに新機能を追加するための安全なワークフローをご紹介します。

🧟 レガシーコードとは？

レガシーコード＝「古いコード」ではありません。
それは以下のような特徴を持つ、保守や変更が難しいコードです。

❌ テストがない
❌ ドキュメントがない
❌ 変更による影響が大きい
❌ 構造が複雑
❌ 技術が古く属人化している

それでも、こうしたコードが今のビジネスを支えているのが現実です。

🔧 ワークフロー：安全に機能を追加するステップ

以下は、私たちが実践している「安全にレガシーコードへ新機能を追加する手順」です。

📊 ワークフローダイアグラム（Mermaid.js）

flowchart TD
    A["🧭 既存コードの理解"]
    B["🧪 現行動作をテストに記録"]
    C["🧹 必要最小限のリファクタリング"]
    D["🌱 新機能の実装"]
    E["🔄 テスト・レビュー・デプロイ"]
    F["🧽 コードをより良くして終了"]

    A --> B --> C --> D --> E --> F

1️⃣ 既存コードの理解

変更するコード周辺の構造を把握しましょう：

関連する関数・クラスを調査
入出力やログを追跡
担当者や過去の開発者からヒアリング

🎯 目的：触る範囲と影響を明確にすること

2️⃣ 現行動作をテストに記録（Characterization Test）

「今どう動いているか」をそのままテストに記録しておくことで、リファクタや追加による副作用を検知できます。

def test_format_date():
    assert format_date("2025-04-21") == "21-Apr-2025"

使用ツール：

pytest, unittest
coverage.py（カバレッジ計測）
pytest-mock（モック化）

3️⃣ 必要最小限のリファクタリング

すべてを書き換えるのではなく、関係する部分だけを整えるのが鉄則：

関数の分離
変数名の改善
重複ロジックの除去
依存関係の切り離し

使用ツール：

black, isort, rope, flake8, pylint

4️⃣ 新機能の実装

リファクタ済みのコードに、いよいよ新しいロジックを実装します。

不安な場合はFeature Toggle（機能の切り替えスイッチ）を使いましょう：

if settings.ENABLE_NEW_LOGIC:
    return new_logic()
else:
    return old_logic()

🚦 段階的なリリースやA/Bテストにも有効です。

5️⃣ テスト・レビュー・デプロイ

自動テストの実行
手動テストの実施
コードレビュー
ステージング環境での動作確認
デプロイ後のログ監視

6️⃣ コードを少しでも良くして終わる

以下のような小さな改善が、長期的に大きな価値を生みます：

コメント・Docstringの追加
不要なコードの削除
TODOやNOTEの記録
テストの追加

🧰 レガシーPythonに役立つツール一覧

用途	ツール名
テスト	`pytest`, `coverage.py`, `hypothesis`
静的解析	`flake8`, `pylint`, `bandit`, `radon`, `vulture`
リファクタリング	`rope`, `bowler`, `fissix`
コード整形	`black`, `isort`
型チェック	`mypy`, `pyannotate`
ドキュメント生成	`pdoc`, `Sphinx`
CI/CD自動化	`tox`, `GitHub Actions`, `Jenkins`