WazuhとAIの統合による高度な脅威検出
サイバー脅威は急速に進化しており、SIEM(Security Information and Event Management) ソリューションであるWazuhは、ゼロデイ攻撃、高度持続的脅威(APT)、内部脅威などの検出に課題を抱えています。DeepSeek-R1、BERT、AutoencodersなどのAIモデルを活用することで、Wazuhの脅威検出能力を機械学習(ML)と自然言語処理(NLP)によって向上させることができます。
本記事では、WazuhにAIベースの脅威検出を統合し、リアルタイムでログを分析する方法を紹介します。
なぜWazuhにAIを統合するのか?
Wazuhはログ収集、ルールベースの検出、コンプライアンス管理に優れていますが、以下のような課題があります。
✅ ルールベースの検出は、新しい攻撃手法を見逃す可能性がある
✅ 誤検知(False Positive)が多発し、セキュリティチームの負担が増加する
✅ 手作業による脅威分析は時間がかかり、非効率的
🔹 AIを活用することで、ログ分析を自動化し、異常検出を強化し、誤検知を削減できます。
アーキテクチャ: AI + Wazuh ワークフロー
このワークフローでは、WazuhのイベントログシステムとAIによる脅威検出エンジンを統合し、ログを正常または悪意のあるものとして分類します。
flowchart TD
A["Wazuhログ"] -->|"ログ取得"| B["AI処理"]
B -->|脅威分類| C{"脅威を検出?"}
C -->|はい| D[AIアラートをWazuhに送信]
C -->|いいえ| E[正常ログとして保存]
D --> F[セキュリティチームへ通知]
E --> G[ログエントリをデータベースに保存]
ステップ1: Wazuhログの取得
WazuhはAPIを提供しており、セキュリティログを取得できます。Pythonを使用してこれらのログを取得しましょう。
import requests
API_URL = "https://wazuh-server:55000/agents/000/logs"
HEADERS = {"Authorization": "Bearer YOUR_API_KEY"}
response = requests.get(API_URL, headers=HEADERS, verify=False)
logs = response.json()
log_texts = [log["message"] for log in logs["data"]]
print(log_texts)
🔹 リアルタイムでWazuhのログを取得し、AIで分析できるようになりました。
ステップ2: AIによるログ分類
事前学習済みのAIモデルを使用して、ログが正常か脅威かを分類します。
from transformers import pipeline
model = pipeline("text-classification", model="deepseek-ai/deepseek-r1")
log_entry = "User admin failed login from suspicious IP 192.168.1.100"
result = model(log_entry)
print(result) # Output: ['malicious'(悪意あり)または 'benign'(正常)]
🔹 ユースケース: ブルートフォース攻撃、フィッシング、マルウェアの検出。
ステップ3: 異常検出の実装
Isolation Forestモデルを使用して、既知のルールに当てはまらない異常なパターンを検出します。
from sklearn.ensemble import IsolationForest
import numpy as np
log_data = np.random.rand(1000, 10) # サンプルログデータ
model = IsolationForest(contamination=0.05)
model.fit(log_data)
anomalies = model.predict(log_data[-10:])
print(anomalies) # -1 = 異常、1 = 正常
🔹 ユースケース: ゼロデイ攻撃、内部脅威、不審なネットワークアクティビティの検出。
ステップ4: WazuhへAIアラートを送信
AIが脅威を検出した場合、それをWazuhに送信し、セキュリティアラートを作成します。
alert = {
"rule": {"description": "AIが異常を検出", "id": 9999},
"location": "AI Model",
"full_log": "ログに不審なアクティビティを検出しました"
}
response = requests.post("https://wazuh-server:55000/alerts", headers=HEADERS, json=alert, verify=False)
print(response.status_code) # 200 = 成功
🔹 AIが検出した脅威が、Wazuhの管理画面に表示されるようになります。
ステップ5: AI分析の自動化
オプション1: Cronジョブを使用して定期的にAIログ分析を実行
5分ごとに分析を実行する場合:
crontab -e
追加:
*/5 * * * * python3 /home/user/ai_threat_detection.py
オプション2: FastAPIを使用してリアルタイムAI分析APIを提供
FastAPIを使用し、Wazuhからリアルタイムでログを受信してAIで分析するAPIを構築できます。
from fastapi import FastAPI, Request
from transformers import pipeline
app = FastAPI()
model = pipeline("text-classification", model="deepseek-ai/deepseek-r1")
@app.post("/analyze_log/")
async def analyze_log(request: Request):
data = await request.json()
log_entry = data["log"]
result = model(log_entry)
return {"verdict": result[0]["label"]}
🔹 WazuhはこのAPIにログを送信し、リアルタイムで脅威分析が可能になります。
まとめ
✅ AI + Wazuh により、脅威検出を自動化し、誤検知を削減可能
✅ DeepSeek-R1やIsolation Forestを活用し、異常検出を強化
✅ スケジュール実行またはAPIを通じてリアルタイム運用が可能
AIとWazuhの統合について質問がありますか?ぜひコメントで教えてください!🚀
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