Wazuhの理解: アーキテクチャ、ユースケース、実践的な応用

SIEMとは?

SIEM(Security Information and Event Management、セキュリティ情報・イベント管理)は、企業のITインフラ内のさまざまなソースからセキュリティデータを収集、分析、相関付けるサイバーセキュリティソリューションです。リアルタイムで脅威を検出、調査、対応できるのが特徴です。

SIEMの主な機能:

  1. ログ収集(Log Collection) – サーバー、ファイアウォール、エンドポイント、アプリケーションからログやイベントデータを集約。
  2. イベント相関(Event Correlation) – ログデータを分析し、脅威の兆候を特定。
  3. 脅威検出(Threat Detection) – 事前定義されたルール、機械学習、脅威インテリジェンスを活用し、異常な動作を検知。
  4. インシデント対応(Incident Response) – アラートの発行、自動対応、脅威の封じ込めを実行。
  5. コンプライアンス対応(Compliance Reporting) – GDPR、HIPAA、PCI DSS などのセキュリティ規制を満たすためのレポート機能を提供。

主なSIEMソリューション:

  • Wazuh(オープンソース)
  • Splunk Enterprise Security
  • IBM QRadar
  • Microsoft Sentinel
  • Elastic SIEM
  • ArcSight
  • Graylog

Wazuhは、最も人気のあるオープンソースSIEMの一つです。では、そのアーキテクチャと実際の活用方法を見ていきましょう。


Wazuhのアーキテクチャ

Wazuhはクライアント-サーバーモデルを採用しており、セキュリティデータの収集、分析、可視化を行う複数のコンポーネントで構成されています。

graph TD;
    A["Wazuhエージェント"] -->|"ログ・イベント送信"| B["Wazuhサーバー"];
    B -->|"セキュリティデータの処理"| C["Wazuhインデクサー(Elasticsearch)"];
    C -->|"データを保存・検索"| D["Wazuhダッシュボード(Kibana)"];
    B -->|"ルール適用・アクティブレスポンス"| E["Wazuhマネージャー"];
    E -->|"ポリシー管理"| F["Filebeat(オプション)"];

1. Wazuhエージェント(データ収集)

  • エンドポイント(Windows、Linux、macOS、コンテナ、クラウド環境)にインストール。
  • セキュリティログ、ファイル整合性監視(FIM)、システムイベント、脆弱性スキャン、マルウェア検出データを収集。
  • Wazuhサーバーへログを送信し、分析を行う。

2. Wazuhサーバー(分析・処理)

  • ログ分析エンジン: エージェントからのデータを処理し、ルールに基づいてアラートを生成。
  • 脅威インテリジェンス & 相関分析: ルールや異常検出を活用し、サイバー脅威を特定。
  • 脆弱性検出: エンドポイント上の既知の脆弱性(CVE)をスキャン。

3. Wazuhインデクサー(Elasticsearch)

  • 処理済みのセキュリティイベント、ログ、アラートを保存。
  • 高速検索やクエリが可能。
  • 長期的なデータストレージを提供。

4. Wazuhダッシュボード(Kibana)

  • WebベースのUIでセキュリティイベントやアラートを可視化。
  • ルールの設定、イベントの分析が可能。

5. Wazuhマネージャー

  • エージェントとの通信管理、ルール適用、セキュリティポリシーを制御。
  • アクティブレスポンス機能を提供。

6. Filebeat(オプション)

  • ログをElasticsearchや他のストレージに転送。
  • 大規模環境や分散型システムでの利用に適する。

Wazuhの導入モデル

  • 単体導入(Standalone Deployment): すべてのコンポーネントを1つのサーバーに導入(小規模環境向け)。
  • 分散導入(Distributed Deployment): 複数のWazuhサーバーを使用し、大規模環境向けに拡張。
  • クラウド導入(Cloud Deployment): AWS、Azure、Google Cloud、Kubernetes環境に対応。

Wazuhの活用事例

1. 脅威検出とインシデント対応

シナリオ: 攻撃者がSSHログインをブルートフォース攻撃で試行。

Wazuhの対応:

  • 短時間に多くのログイン失敗を検出。
  • アクティブレスポンスで攻撃者のIPを自動ブロック。
  • セキュリティチームにメール・Slackで通知。

2. ファイル整合性監視(FIM)

シナリオ: システムの重要ファイル(/etc/passwd など)が不正に変更された。

Wazuhの対応:

  • 変更をリアルタイムで検出。
  • アラートを発行し、必要に応じて元のファイルを復元。

3. ランサムウェアの検出・防御

シナリオ: ランサムウェアがファイルを暗号化し、拡張子を .locked に変更。

Wazuhの対応:

  • 大量のファイル名変更・暗号化を検出。
  • ランサムウェアプロセスを自動停止。

4. クラウドセキュリティの監視

シナリオ: AWSのIAMユーザーに管理者権限が不正に付与された。

Wazuhの対応:

  • AWS CloudTrailログを監視し、不正アクセスを検出。
  • セキュリティチームに即時アラートを送信。

まとめ

Wazuhは、オープンソースのSIEM & XDRとして、脅威検出、コンプライアンス監査、インシデント対応を実現する強力なツールです。サーバー、エンドポイント、クラウド環境など幅広いセキュリティ監視に適用可能です。

Wazuhの導入を検討していますか?ぜひコメントでご意見をお聞かせください! 🚀

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