なぜローコードはトレンドから外れつつあるのか(そして何が置き換えたのか)

ここ数年、ローコード/ノーコードプラットフォームは「ソフトウェア開発の未来」として注目されてきました。

  • 開発スピードが速い
  • 開発コストを抑えられる
  • エンジニア以外でもアプリを作れる

こうした価値提案は非常に魅力的でした。

しかし 2025 年現在、ローコードの勢いは明らかに落ち着いてきています。

ローコードが消えたわけではありません。
ただし イノベーションの中心ではなくなった のです。

本記事では、なぜローコードが重要性を失いつつあるのか、そして 現在主流になりつつある代替アプローチ を整理します。


1. AI によって「コーディングは再び高速になった」

ローコードが広まった最大の理由は、従来のソフトウェア開発が

  • 時間がかかる
  • コストが高い

という前提にありました。

API、CRUD、画面、システム連携を一つひとつ実装するのは確かに大変でした。

しかし現在、その前提は崩れています。

AI コーディング支援により、エンジニアは次のことが可能になりました。

  • 数分でバックエンド API を生成
  • データベース構造の自動生成
  • フロントエンド実装の高速化
  • 継続的なリファクタリングとテスト

結果として、ローコードの「速さ」という優位性は薄れました

AI はエンジニアを置き換えたのではなく、
エンジニアの生産性を大きく拡張した のです。


2. 実運用レベルの複雑さにローコードは耐えられない

ローコードが向いているのは次のようなケースです。

  • 社内向け業務システム
  • 単純なワークフロー
  • CRUD 中心のアプリケーション

一方、現代のシステムには以下が求められます。

  • イベント駆動アーキテクチャ
  • 複雑な業務ロジック
  • バックグラウンド処理とオーケストレーション
  • AI/データパイプライン
  • 多数の外部システム連携

このレベルになると、ローコードは次の問題を抱えがちです。

  • デバッグが困難
  • 拡張が難しい
  • 全体構造を把握しづらい

多くの現場で最終的に出てくる結論は同じです。

「結局、コードで書き直す必要がある」

この 書き直しコスト が、長期システムにおけるローコード不信につながりました。


3. ベンダーロックインが経営リスクになった

ローコードは単なるツールではなく、特定ベンダーのエコシステムです。

一度構築すると:

  • ロジックがプラットフォーム依存になる
  • 他環境へ移行しづらい
  • 成長とともにコストが増大
  • 専門スキルが属人化する

これは基幹システムにおいて大きなリスクです。

対照的に、オープンソースベースのスタックは:

  • システム所有権が明確
  • コスト予測がしやすい
  • 移植性が高い
  • 将来の選択肢を自社で保持できる

日本企業でも、
「一時的な便利さ」より「長期的なコントロール」 を重視する傾向が強まっています。


4. モダンフレームワークが同じ課題をより良く解決した

ローコードは「ボイラープレート削減」を約束しました。

しかし現在のフレームワークは、それを 柔軟性を犠牲にせず 実現しています。

  • 自動 CRUD
  • 型安全な API
  • 高速な UI 構築
  • ワークフローエンジン
  • コンテナ前提のデプロイ

重要な違いはここです。

ローコードは複雑さを隠す。
モダンフレームワークは 複雑さを明示的に管理する

長期運用では、この差が決定的になります。


5. AI 中心システムとローコードは相性が悪い

AI はもはや「付加機能」ではなく、システムの中核です。

AI システムには次が必要です。

  • モデルライフサイクル管理
  • データバージョン管理
  • 非同期・バックグラウンド処理
  • イベント/ストリーミング
  • パフォーマンス可視化

多くのローコードは AI を:

  • 外部 API
  • ドラッグ&ドロップのブロック

として扱います。

この抽象化は、実運用ではすぐに限界を迎えます。

AI システムには 明示的なエンジニアリング制御 が不可欠です。


6. エンジニアリングの規律が再評価された

「誰でもソフトウェアを作れる」という時代を経て、企業は学びました。

  • デモより保守
  • スピードよりデバッグ性
  • 操作性よりアーキテクチャ

現在重視されているのは:

  • 少数精鋭の技術チーム
  • 明確な責任分界
  • 数年後も理解できるコード

この文脈では、ローコードは適合しづらいのが現実です。


7. それでもローコードが有効な領域

ローコードが不要になったわけではありません。
適切な用途に限定すれば有効 です。

向いているケース

  • 社内管理ツール
  • 承認フロー
  • プロトタイプ/PoC
  • 重要度の低いダッシュボード

向いていないケース

  • 基幹・中核システム
  • AI プラットフォーム
  • 高スケール SaaS
  • 長期運用前提のシステム
  • 複雑な統合システム

ローコードは「戦略」ではなく「道具」です。


最も重要な変化

ローコードはエンジニアを減らそうとしました。

しかし AI は、
エンジニアの価値を高めた のです。

これが、ローコードがトレンドから外れつつある最大の理由です。


まとめ

いま技術選定で問われるべきなのは:

「どれだけ速く作れるか」

ではなく:

「このシステムを何年、主体的に運用できるか」

その問いに向き合うとき、
多くの企業はローコードから離れ、
本来のソフトウェアエンジニアリング に立ち返り始めています。


Get in Touch with us

Chat with Us on LINE

iiitum1984

Speak to Us or Whatsapp

(+66) 83001 0222

Related Posts

Our Products