なぜ私たちは「ソフトウェアを作るだけ」ではないのか — システムを実際に動かすために
多くのプロジェクトにおいて、問題は「ソフトウェアが存在しないこと」ではありません。
本当の問題は、複数のシステムが連携せず、業務として機能していないことです。
あるシステムでは正しいデータが、別のシステムでは異なっている。
データが重複し、遅延し、時には失われる。
結果として、現場では Excel やメール、手作業に戻ってしまいます。
ここに、私たちの本質的な強みがあります。
ソフトウェアは正しくても、業務は失敗することがある
優れたソフトウェアを開発できるチームは数多く存在します。
- 品質の高いコード
- モダンな技術スタック
- 使いやすい UI
しかし、日本の企業や自治体、製造業の現場では、単体のソフトウェアだけで業務が完結することはほとんどありません。
業務システムは単一のアプリケーションではなく、以下のような「連鎖」で構成されています。
- ERP / 基幹システム
- 既存のレガシーシステム
- 会計・請求システム
- 取引先や外部サービス
- 承認フローや手作業
- 法令・内部統制
この連鎖の一部が機能しなければ、全体の業務が止まります。
System Integrator がいない場合 / いる場合
❌ System Integrator がいない場合(ソフトウェア中心のプロジェクト)
flowchart LR
U["利用者"] --> A1["システムA"]
U --> A2["システムB"]
U --> A3["システムC"]
A1 --> DB1["データA"]
A2 --> DB2["データB"]
A3 --> DB3["データC"]
DB1 -.-> DB2
DB2 -.-> DB3
現場でよく起こること:
- システムが個別最適で分断される
- データ不整合や二重管理が発生
- Excel やメールでの調整作業が増える
- 全体設計の責任者が不明確
- 障害発生時の切り分けが困難
✅ System Integrator がいる場合(エンドツーエンド設計)
flowchart LR
U["利用者"] --> W["統合Web / アプリ"]
W --> INT["統合・業務ロジック層"]
INT --> A1["システムA"]
INT --> A2["システムB"]
INT --> A3["システムC"]
A1 --> CORE["正のデータソース(Single Source of Truth)"]
A2 --> CORE
A3 --> CORE
CORE --> REP["レポート / ダッシュボード"]
CORE --> AUDIT["監査・トレーサビリティ"]
INT --> MON["監視・エラーハンドリング"]
INT --> SEC["セキュリティ・アクセス制御"]
得られる効果:
- データの流れが一元管理される
- システム全体の責任範囲が明確
- 手作業と人的ミスの削減
- 安定した業務運用
- レガシーを活かした段階的な刷新
私たちの強み:システム思考と実装力
私たちは、いきなり開発から始めません。
まず「業務とシステムの全体像」を整理します。
常に問いかけるのは以下です。
- 業務は実際にどのように流れているか
- データの起点はどこか
- どこで加工・連携されているか
- 次の工程で誰がそのデータを使うのか
全体が明確になってから、実装に入ります。
その結果として:
- 機能単位ではなく、業務フロー単位で設計
- 既存システムを尊重した統合
- 過度なツール導入を避けた自動化
- 「納品」ではなく「安定稼働」への責任
レガシーとモダン技術をつなぐ
多くの日本企業では、すべてを作り直すことは現実的ではありません。
私たちは以下を橋渡しします。
- 既存データベースや基幹システム
- 長年運用されてきた業務フロー
- 新しい Web / API / 自動化技術
目的は急激な刷新ではなく、リスクを抑えた進化です。
対応可能なソフトウェア・技術スタック
私たちは特定の言語やフレームワークに依存しません。
業務要件・既存環境・将来の保守性を踏まえて選択します。
プログラミング言語
- Python – システム統合、業務ロジック、自動化の中核
- JavaScript / TypeScript – Web アプリケーション、UI
- SQL – データ設計、分析、性能改善
- Shell / Bash – 運用・自動化
- その他、既存システムやベンダー要件に応じて対応
アプリケーション / API
- Django – エンタープライズ向けバックエンド
- FastAPI – 高性能 API
- REST / Webhook によるシステム連携
データ・統合
- PostgreSQL、Redis、ドキュメント指向ストレージ
- ERP(例:Odoo)との連携
- 長時間業務を支えるワークフロー設計
- API がないシステム向けの RPA
インフラ・セキュリティ
- Docker / Linux 環境
- 監視、ログ、アラート
- RBAC、監査ログ、トレーサビリティ
デモではなく、現場で動くシステムを
実運用のシステムは以下に耐える必要があります。
- 一部障害
- ネットワーク問題
- 人為的ミス
- 法令・内部統制
- 将来的な変更
私たちは、
- 長期運用できること
- 監査に耐えられること
- 安定して業務を支えること
を前提に設計します。
まとめ
私たちは単なるソフトウェア開発会社ではありません。
実装できる System Integrator です。
私たちの価値は特定の技術ではなく、
複雑で分断されたシステムを、業務として機能する形にまとめ上げる力にあります。
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